2009年10月17日土曜日

精神病名

ある方が 精神科医がお子さんに付けた病名でショックを受けたと話されました。

日本で使っている精神病名の多くは DSM-IV-TR (Diagnostic Statistical Manual of Mental Disorders):精神障害の診断と統計の手引き に従って診断されています。
これはアメリカ精神医学会の定めた患者の精神医学的問題を診断する際の指針を示したものです。
病名をつけるのに必要な症状や頻度など基準が細かく定められているものです。

アドラー心理学はもちろんアメリカ精神医学会でも認められた心理学です。
アメリカ心理学会がアドラー心理学の本を出版しています。アドラー心理学を唱えたアドラー博士は 精神科医でしたが病名を付けることをしませんでした。
病気の人は「勇気をくじかれている」と表現しました。

EMDRでも 治療にあたって病名にこだわることはしません。
クライエントの方の 一番古い記憶(短い物語のようになったもの)から イメージをつかみ、それを治療の対象にします。

EMDRとアドラー心理学が重なるのは この記憶を重要視する点です。
アドラー心理学ではこれを 「早期回想」と呼んでいます。

どちらも クライエントの方に 不安障害、パニック障害、トラウマなどの病名をあえてお伝えすることはありません。

どちらも「困難を乗り越えて 前に進んでいくことを援助していくことに重きを置いている」という点でも一致しています。

クライエントの方が EMDRで症状から回復された後、ご家族の方が「勇気づけ」を学んで対応を肯定的なものにされることが必要だと思います。