2010年5月20日木曜日

父親は大学教授!

モントリオールでの事例です。

来談目的:離婚を楽に乗り越えたい
職業: 会社員

「自分はバカだ!愚かだ!」
と ことある度に口にされます。

彼に 自分を愚か、と思い始めた時期を聞いてみました。

「高校の時だった。地理、科学、英語、フランス語、歴史、どの教科も好成績だった。けれど 数学が75点だった。父親に見せると“今度頑張れば良いよ!」と言われた。自分は 愚か者だと思った。友達は “75点で充分だろう、何がいけないんだ?”と言っていた。」

という記憶が出てきました。

お父さんは有名な大学の教授。
「父を尊敬している。」
と言いつつ 父親と自分の学歴、職業を比較しておられます。

このイメージについては ご自身の中で 充分熟成されていたようです。
10セットのEM(眼球運動)で 
「自分は 父とは違う。自分はありのままで良い。」
という所に落ち着きました。

EMDRは 一つのイメージについてセラピーを行います。
似たような内容であれば 一番古いトラウマにセラピーを行うと 新しいものが消えやすくなったり 消えたりします。

2010年5月12日水曜日

長年Aさんを苦しめて来た両親の争い

2009年10月にEMDRセラピーをしたAさん。ギリシャ系カナダ人です。

ターゲットは
「4~5才の頃、両親のけんかを見た。父親が髭そりナイフを持って 母親を追いかけていた。」

この記憶を抱えてAさんは40年以上生きて来られました。
現在のパートナーとは 10年間一緒に暮しておられます。しかし彼女の気持ちの中では 常に不安定感があるとのこと。

精神分析セラピーを3年間、行動療法を2年間続け、EMDRセラピーを試みた時まで 行動療法の面談を受けていたそうです。

Aさんの場合、トラウマが大きかった為 脱感作にとても時間がかかりました。
1回目、2回目共に 100セット以上の眼球運動を行いました。
疲れて来た時に タッピングに変えたのですが Aさんは 眼球運動の方が集中出来る、とのことで休みながら行いました。

1回目が済んだ時は 10のSUDsは 5まで下がりました。
2回目は3。
軽いトラウマの方に比べて とても時間がかかりました。

合計で5回の面談を行いました。

「5年間セラピーに通っていたのに イメージは持ち続けていた。1週間に1回の 5週間で消えるなんて 魔法のよう!ありがとう! 何かあったら また連絡するわ。」

7ヶ月経って メールでやり取りしました。
「前より 行動的になったと思う。イメージは すっかり消えた。よく思い出せない。」
とのことです。


 

EMDRセラピー 半年後

2009年12月初旬にEMDRセラピーを受けたクライエントQさんと会う機会がありました。

ターゲットは
「4~5才の頃 自分が気に入っていた格子柄のスカートをはこうとしていると 母親に“似合わないから 止めなさい!”と言われたこと。」
でした。

当時クライエントは 実習を伴う授業が多い各種学校の学生でした。
自分の判断に自信が持てず、些細なことに周囲の様子を見てから事を運ぶため テンポが遅れる。実習の際 一斉に作業を始めるのに支障をきたす、ということでした。

半年後に会ったQさんは
「EMDRのおかげで くよくよしなくなりました。あんなことがあったなぁ、と思う位です。学校でも 周りを気にしないで実習出来、おかげで無事に卒業しました。EMDRがすごく効果があって 生きるのが楽になるって 悩んでいる人達に教えてあげたいと思います。」
と おっしゃって下さいました。

EMDRセラピーを知らないという方から 
「記憶が戻るということは無いのですか?」
と質問を受けたことがあります。

EMDRが北米で急速に広まっているのを見れば 戻ることは無いとはつながりませんが 効果的な治療だと認められている、ということだと思います。

日本でも「日本EMDR学会」がトレーニングを行っています。